ムック/ 嘘で歪む心臓

嘘で歪む心臓

作詞：達瑯　作曲：YUKKE　唄：ムック



｢私（わたし）は何（なに）も知（し）らないふりしていてあげるわ。
泣（な）いて、壊（こわ）れて、笑（わら）って…｣

もう只死（ただし）ぬのを待（ま）つだけの仔猫（こねこ）を見（み）た。
排泄器官（はいせつきかん）は塞（ふさ）がれたらしく誰（だれ）も近（ちか）づかない。
本人（ほんにん）はそれが当（あ）たり前（まえ）のような顔（かお）してる。
あなたは終（お）わりがわかんない。

雨（あめ）は上（あ）がる気配（けはい）もなく降（ふ）り続（つづ）いている。
部屋（へや）の明（あ）かり消（け）して床（ゆか）にはいつくばって、
不幸（ふこう）な人（ひと）のことを考（かんが）えて自分慰（じぶんなぐさ）めて、また一（ひと）つ逃（に）げ道増（みちふ）やしてる。

まっさらな紙（かみ）に落（お）ちた、一滴（いってき）の黒（くろ）いそれは
滲（にじ）み出（だ）し広（ひろ）がって何（なに）も見（み）えなくした。

キチガって暴（あば）れ始（はじ）めた彼（かれ）の心臓（しんぞう）。
妄想（もうそう）は膨（ふく）らむばかりどうにもなりやしない。
彼女（かのじょ）は何（なに）も知（し）らないで愛想（あいそ）を振（ふ）りまいてる。
私（わたし）は、あなたが、わかんない。

夜（よる）は終（おわ）る気配（けはい）もなく飲（の）み込（こ）み続（つづ）ける
言葉（ことば）を指（ゆび）でなぞって床（ゆか）をはいずり回（まわ）って
その言葉（ことば）に嘘（うそ）、偽（いつわ）りはないが、隠（かく）し事（ごと）にあり、爪（つめ）がくいこみ始（はじ）める。

嘘（うそ）が下手（へた）な男（おとこ）と隠（かく）し事（ごと）がうまい女（おんな）
傷付（きずつ）くのがいやで自分追（じぶんお）いつめて
滲（にじ）み出（だ）す輪郭（りんかく）それに伴（ともな）う痛（いた）み
柔（やわ）らかな曲線（きょくせん）に影（かげ）を持（も）つ。

雨（あめ）は上（あ）がる気配（けはい）もなく飲（の）み込（こ）み続（つづ）ける
仔猫（こねこ）のことを考（かんが）えて心臓（しんぞう）かきむしられて
簡単（かんたん）に自殺（じさつ）を考（かんが）えたことは一度（いちと）もないが、何（なに）だか死（し）にたい気持（きも）ちです。

嘘（うそ）ばかりの男（おとこ）と、騙（だま）され上手（じょうず）な女（おんな）
傷（きず）つくのが恐（こわ）くて、無垢（むく）を演（えん）じてた。
流（なが）れ出（だ）す激情（げきじょう）。それに伴（ともな）う目覚（めざ）め
柔（やわ）らかな曲線（きょくせん）は、影（かげ）を持（も）つ。

仔猫（こねこ）も自分（じぶん）の運命（うんめい）を、理解（りかい）することができたなら
知（し）りたくなんかなかったと、思（おも）うでしょう。